1997 フィアット バルケッタ
1989年にマツダが発売した「ユーノス・ロードスター」は、1960年代に隆盛を極めた2シーター・ライトウェイト・オープンスポーツというスタイルを現代に甦らせ、世界の各メーカーからフォロワーを生み出したことでエポックメイキングな1台でした。そのコンセプトを、過去のモチーフを大胆に取り入れながらモダンなデザインとして昇華させたイタリア流解釈のネオヒストリック・ライトウェイト・オープンスポーツとしてフィアットが送り出したのがバルケッタです。

SOLD OUT
車両解説
イタリア語で「小船」を意味するバルケッタという名称はスポーツカー花盛りの古き良き時代にフィアットやフェラーリの2人乗りオープンスポーツに使われていた由緒ある名前ですが、ユーノス・ロードスターの巻き起こしたムーブメントに合わせてフィアットが投入した小さな2シーター・オープンスポーツにこの名前を与えたのは必然といえるでしょう。
精神的には高尚なのですが、マーケティング的にはユーノス・ロードスターの二番煎じ、メカニズム的にはフィアット・プント(初代)のプラットフォームをベースにお手軽な横置きFFという成り立ちで、専用のFR/MRのシャシーを開発したほかのメーカーからするとはっきり言って「安物」です。
しかしイタリア人が本領を発揮するのはまさにこのようなシチュエーション。「安物」ではありますが決して「安っぽく」はないのです。一流の料理人がありあわせの素材で美味いメシを作るかのように、大衆車から走って楽しいスポーツカーを作り出してしまう手腕には脱帽してしまいます。ちょっと大きめで元気の良いエンジンをカチカチとフィールのいい5速マニュアルミッションを忙しく動かして走らせれば、1トンそこそこの軽量ボディゆえ心地よい加速を楽しめますし、軽自動車並みの短いホイールベースによる高い旋回性はドライバーの意思でタックインを駆使して自由に姿勢制御できる「操る楽しみ」を与えてくれます。そこにはカタログスペックでは決して判断できない、スポーツカーというものを知り尽くしたイタリア人ならではの「車哲学」すら感じられます。
また、アルファロメオ156などを手掛けたことで有名なウォルター・デ・シルバのデザインは、ボタンを押すと金属のバーが飛び出すクラシカルなドアノブや、車幅の狭いボディにボリューム感を出す波打ったサイドのキャラクターライン、内装を飾るボディ同色の樹脂製パネルなど随所に古典的なモチーフを生かしながらも古さを感じさせないエバーグリーンといっていい物です。ソフトトップの開閉は前部の2箇所のロックを外してトップを緩めた後、後部を持ち上げてカバーを開いたスペースに折り畳んで収納しカバーを閉じる、という手順になります。今時の電動トップに比べて少し手間はかかりますが、軽く仕上がっているしカバー収納のおかげでオープン時のラインは美しいです。
決して速い車ではありませんが、シンプルに車と向き合って「対話」が楽しめるスタイリッシュなオープン2シーター・ライトウェイトスポーツはいかがでしょうか? 詳細についてはお気軽にお問合せ下さい。
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